診療案内≪高齢者歯科≫
おもに65歳以上を対象として、心身の加齢変化や基礎疾患を配慮した上での治療を行います。
日本人の平均寿命は、2010年には男性79歳、女性は86歳となり、世界で最も長寿となっています。 しかし、歯の寿命は短く、75歳以上の平均残存歯は4.8本と少なく、しかもほとんどの人は、歯が一本もない状態になっていると 言われています。
そこで、高齢になっても、自分の歯で食べ物を美味しく食べられるよう、お口の中の健康を守る意識を呼び起こそうという運動 が始まりました。それが「8020運動」です。厚生労働省と日本歯科医師会が提唱し、80歳になっても最低20本以上の自分の歯を 保ちましょうというキャンペーンです。
【高齢者の虫歯】
若年層の虫歯は、大部分が歯の咬み合わせ面や、隣あった歯と歯が強く接する接触点に発生します。
しかし、高齢者になると、唾液の量が少なくなり、歯肉がやせる老化現象が現れ、歯と歯の間に隙間が出来て、 食べ物のカスが詰まりやすくなります。そのため、高齢者の虫歯は、咬み合わせ面よりも歯と歯の間の根本部分が非常に 多くなってきます。
このような部分に出来た虫歯を、自分で鏡を見て早期に見つける事は、容易ではありません。 やはり、定期的に歯科医院で検診を受けることが大切です。
【入れ歯(義歯)】
虫歯や歯周病の程度がひどくなり、やむを得ず歯を抜いたり、歯がグラグラして自然に抜けてしまった時には、入れ歯やブリッジを入れたり、 インプラントの治療をすることになります。
歯が無くなった所に入れ歯を入れず、そのままにすると、食べ物を噛む能力が落ちて、胃腸の調子が悪くなったり、栄養がかたより、 免疫力も低下します。また、歯と歯のすきまが出来ることにより、発音が難しくなり、お喋りがしにくくなります。食事や会話 に支障をきたすと、人との付き合いがおっくうになります。身体的、精神的に活動力が不活発になると、高齢者では寝たきりや認知症 の引き金にもなりかねません。ですから、歯を抜けたままにせず、なるべく早く入れ歯を入れましょう。
ただし、入れ歯は自分の歯と違い、噛む力が歯茎に加わるので、その場合は我慢せずに義歯調整をしましょう。定期的な健診と 義歯調整で、入れ歯の違和感を少しでも軽減していくことが大切です。
【誤嚥性肺炎】
高齢者の死因の約半数が感染症です。感染症の中でも圧倒的割合を占めるのが肺炎です。
口腔内にいる色々な細菌が、食べ物の残りカスや、逆流した胃液とともに気管に入ると、体力の弱っている 高齢者は誤嚥性肺炎を起こします。
誤嚥性肺炎の予防は、食事は背中を垂直にする姿勢でし、食後もしばらく座位を保ちます。そして常に 口腔内を清潔に保つことが大切です。口の中も不潔にしていると細菌が繁殖します。うがいや歯磨き、 入れ歯の掃除、口の中の粘膜を拭うなど、口の中を清潔に保つ口腔ケアは命を守るのです。